
0000044access
バイクではありえない、同じ現行車名で異なる搭載エンジン
先日、僕(筆者:木下隆之)がドライブしたシボレー・カマロSSの走りは強烈でした。搭載されるV型8気筒6.2リッターのパワーユニットは617Nmものトルクを爆発させます。ゼロヨン加速用のローンチコントロールを備え、さらには後輪だけ空転させることのできるバーンナウト機能も備わっているのです。これはもう狂犬ですね。
僕が紹介したいのはカマロSSのインプレッションではありません。バイクとクルマでは、パワーユニットの考え方が全く別である点を考察したいのです。カマロにはV型8気筒6.2リッターのビッグエンジンが搭載されていながら、一方で直列4気筒2リッターエンジンが積まれているのです。同じボディ、同じプラットフォームなのに、です。気筒数は半分、排気量は3分の1以下のエンジンが同じクルマに搭載されている。これはもう、クルマとしては別物のはずです。
バイクの世界では、そんなことは起こり得ません。ホンダ「CB1300」シリーズに積まれるのは排気量1300ccの直列4気筒エンジンですが、それに400ccクラスの「CBR400R」の直列2気筒エンジンが搭載されることはありませんし、その逆もまた然りです。そもそも免許区分も異なります。ですが、クルマの世界では、ひとつのプラットフォームに大小のパワーユニットを搭載することはそれほど珍しくはないのです。
関連情報URL : https://news.yahoo.co.jp/articles/5f9772e00adb5f8fb2868e9b2d0aaa75749bd2a9
シボレー・カマロSSにはV型8気筒6.2リッターのパワーユニットが搭載される
極端な例では、レクサスUXでは、直列4気筒2リッターのガソリンエンジンがありながら、エンジンのない電気自動車をライナップしています。BEV(バッテリー電気自動車)なのにエンジン冷却用のラジエターグリルも残っています(さすがにマフラーはありませんが)。細部にはガソリンエンジンと電気モーターの違いは無くはないのですが、ほとんど同じクルマなのに、パワーソースは異なるのです。
バイクとクルマの最大の違いは、機種にもよりますがパワーユニットをフレームの一部としているか否かです。エンジンも車体剛性の大切な要素としているバイクでは、搭載するエンジンを変えてしまうと剛性バランスが変化し、バイクとしての理想形から離れてしまうことが考えられます。
対してクルマは、モノコックフレームだけで剛性を完結させています。空間さえあれば、どんなエンジンを搭載しても成り立つのです。バイクにとってもクルマにとっても、最大の重量物はエンジンです。総重量に対してエンジンが大きな比重を占めるバイクですが、クルマにとってはそれほど影響がありません。それが理由のひとつでもあります。
クルマとて厳密に言えば、搭載するエンジン次第で前後重量配分が変化しますが、走りが破綻することはありません。ですからV型8気筒6.2リッターと直列4気筒2リッターのカマロのような極端なことが起こるのでしょう。こうしてバイクの目線でクルマを観察するのは楽しいものです。激辛マッチョなカマロSSはモンスタースポーツですが、派手なスタイルながらもカマロRSの方は、じつは大人しいクーペに成り下がります。V型8気筒を積むカマロSSは限界域での旋回性が粗いのに対して軽量なカマロRSは、速くはないがフットワークは軽快です。性格は全く異なるのだから、これはこれで面白いものです。
(木下隆之)
車は1車種にいくつものパワーユニットを搭載して差別化している。排気量の差別化からガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、HV、PHV、BEVなどパワーユニットの種類も差別化している。バイクの場合はエンジンは1種類で車体の付属物、タンク形式とかカウルとかステアリングバーとかそう言ったものを変えて差別化しているものもある。それでも大方はエンジンと車体形式が1種類のものがほとんどではある。ここではそれは車体強度の問題としているが、車でも頭にあまりデカいエンジンを積んだりすれば車体の補強もせざるを得ないだろうし、車のバランスが崩れてしまうだろう。車が一つの車体に様々なパワーユニットを搭載して様々なバラエティを演出しているのはそれだけの購買者数があるからだろう。年間数千台、大型になると数百台なんて販売台数でパワーユニットを何種類も搭載したモデルを作るなんて言っても売れなくて足が出るのは明白だろう。バイクもシャーシーというかフレームがあってエンジンはその上に乗っかっているのでエンジンが強度部材を兼ねているということはないのではないだろうか。ただバイクは総重量に占めるエンジンの割合が大きいのであまりエンジンの大きさが変わるとバランスが大きく変化してしまうということはあるだろう。
CB1300の場合はダブルクレードルフレームと言う太いパイプで枠を組んだフレームになっている。ダイヤモンド/バックボーンフレームなどはアンダーチューブがなくここにエンジンを組み入れてエンジンを強度部材の一部として使用しているようだ。またフレームレスというのもあり、これは文字通りフレームと言えるようなものがなくエンジンとギアボックス、ドライブシャフトが強度部材として利用され、フレームと呼べるようなものが各部をつないでいる形式のようだ。これはBMWに多い形式だそうだ。あとはモノコック構造にエンジンを取り付けて強度部材としているものもあるようだ。それでも数が出ればボディ形状を変化させたりパワーユニットを差別化してバラエティを持たせることも可能だろうけどもう一つ大事な問題がある。バイクは趣味的な要素が非常に強い乗り物で大排気量が好まれるという傾向がある。だから同一形式のモデルでパワーユニットを差別化したとしても排気量の大きいものしか売れないということにもなりそうではある。まあいずれにしても車とは比較にならないほど売れる数が少ないのでそうそうあれこれ変化させても意味がないだろう、・・(◎_◎;)。
コメント(全0件)