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3/11、陽気な春日。友人のカブ太さんと沼津経由で富士山周回する約300kmのツーリングをしてきました。カブ太さん、最近ニューバイクを購入され最近はこの凸凹コンビでツーリングしてます。わたしのDB9は冬眠中なので(笑)
昼食に沼津で美味しい鰻を頂いた後、次の目的地である朝霧高原のミルクランドに向けて小一時間ほど走行、富士市の街中を抜けて富士宮に向かう途中でエンジントラブル発生。
症状としては、
(1)ゆるいけど長くつづく上り坂を8000rpmくらいで巡行。突然エンジンのトルク感が落ちてエンジンの吹けが異常に悪くなった。それから徐々(30秒くらいかけて)にスローダウンして4000rpmあたりまで落ち込みアクセルを開けてもエンジンが吹け上がらない。シフトダウンして無理やりエンジン回転数を8000rpmに復帰させてもまた4000rpmまでスローダウン(このときは10秒くらい、悪化している感じ)。慣らし運転を終えて間もないハイコンプピストンが逝ったかと焦る。
(2)これは異常だと判断してバイクを停車させる。この際エンジンストールはしなかったがアイドリングが不安定。クランクやシリンダからの異音も特になし。とりあえずピストン割れやクランクが逝ったわけではなさそうだけど…。
(3)いったんエンジンを止めて外観チェックしてみるも、オイル漏れなど異常な箇所は見つからない。うーん、なにが起きてるんだか皆目見当付かず。
(4)再度エンジンかけるもアクセルを煽らないとエンジンかからない。エンジンがかかったついでに8000rpmあたりまで一気にエンジンを吹かしてみる。エキゾーストから勢いよく白煙を吹いた。オイル臭い!、明らかに前回のオイル上がりのメンテナンスの時よりエキゾースト白煙はオイルの臭いがする。アイドリングは不安定だがなんとか走行できそうな感じ。
※長文といわれたので続きは工程2に続く
(5)走行を再開、様子見がてら低速&低回転域で走行。トルク感が無い。数キロ先のガソリンスタンドで給油。エンジン再始動、やっぱりエンジンのかかりが悪い。エンジンの吹けも悪い。でも白煙は吹かず。さっきより多少だけど症状が改善されてるか…。
(6)朝霧高原のミルクランドまで上り調子な道を走行。トルクが無い状況なのでギヤを1段落としてエンジン回転数上げ気味で約30km走行。エンジン温度もかなり上昇し電動オイルクーラーに頼る状況。電動オイルクーラーはオイルパン温度85℃で作動して75℃で停止するのですが頻繁に作動&停止を繰り返してました。
(7)10km強走行したころでしょうか、なんだかトルク感が戻ってきた感があります。エンジンの吹けも戻ってきたかも。電動オイルクーラーも作動しなくて済む程度で走行できるようになり、ちょっと安心。
(8)なんとかミルクランドに到着。アイスクリームを頂き、バイクに戻ってきたとき異常を発見。写真の通り、グロム君、エアクリーナーカバーから白濁液をいっぱい垂れ流してます。思わず「グロム君、ゲ〇吐いた(笑)」です。
この時点でやっと原因に気づきました。これ内圧コントロールバルブに溜まったエマルジョン(乳化オイル)が温まって液体化し、インテーク戻しのチューブを経由してエアフィルターまで垂れ流れて、エアフィルタでろ過されて出てきてるんです。
エマルジョンが原因でこんな体験をするとは…。おのれ~エマルジョンめが!
とりあえず垂れ流れてきたエマルジョンを拭きとってさらに流出がないか確認しましたが流出する様子はありませんでした。エマルジョンも一応オイルなので走行中に流出することは問題です。ちょくちょく状態を確認しながら走行続行しましたが相変わらず流出することもありませんでした。
その後、河口湖→富士道→道志裏道→道志道を通って無事?帰宅できました。
電動オイルクーラーの話はこちら↓
https://imp.webike.net/diary/218919/
前回メンテナンスの話はこちら↓
内圧コントロールバルブの清掃、ハイコンプピストンに換装した前回のメンテナンス時にやっておけば良かったと後悔です。
でも内圧コントロールバルブを導入して1年未満なんですよね…。ハイカム導入して高回転仕様で走り回ってるからメンテナンス周期を短くしないとダメなんでしょうね。
ということで、翌日さっそく内圧コントロールバルブの清掃を含め、今回の影響範囲をチェック&クリーニングしました。
先ずはエアフィルタとインテークチューブ周り。
写真の通り、ミルクランドで拭きとったのですが翌日にかけてまた垂れ流しのおかわりが…。どうやらサイドスタンドをかけて車体を傾けて停車しているときに出てくるみたいですね。まったくもう!
エアフィルタ内側もエマルジョンが垂れ流れた跡が…。それほど残留している様子ではないので、ほとんどのエマルジョンは暖まって液体なうちに垂れ流れてしまったんでしょうね。だけどフィルタ目にはびっちりエマルジョンがこびりついてます。
触った感じ、マヨネーズ(マヨネーズもエマルジョンの一種ですよね)というよりはカフェラテの上の泡みたい。見た目もそんな感じですしね。冷間時だとこれくらいの硬さでした。ミルクランドでのフレッシュ?なエマルジョンはもっとしゃびしゃびで泡立ってるけどもっと液体って感じ。この硬さの差が流れ出すか否かの違いなんでしょうね。
まぁ、このせいでエア吸入性能が悪化して高回転で吹けなくなったのは明白です。
※また長文といわれたので工程4に続く
内圧コントロールバルブ導入の話はこちら↓
https://imp.webike.net/diary/230344/
ハイカム導入の話はこちら↓
エアフィルタ清掃は、台所中性洗剤を入れたお湯に付け込みつつ濯いで大まかに洗浄。たっぷり油が浮いてきました。
さらに泡スプレーボトルを使って希釈した中性洗剤水で泡まみれにして歯ブラシでやさしくきれいに掃除しました。その後、洗剤を水で洗い流し、ブロアーで水気を飛ばしました。あとは日陰干しで乾燥させました。
これは余談(失敗談)ですが、K&N_RECHARGERっていうエアフィルタオイルを塗布してみました。もともとVirusWinのエアフィルタはエアフィルタオイルは未塗布タイプです。これを塗布したせいでみごとに燃調が狂ってしまいました。興味本位で塗布するのはやめときましょう(笑)
インテークチューブ内はそれほど汚れてませんでした。パーツクリーナーで湿らせたウェスで拭きとって掃除する程度で済みました。
うちのグロム君、VirusWinのエアクリーナーを使ってるのですが、サイドカバーに干渉しないようにインテークチューブをエアフィルタ側に斜め下に首をかしげてあるんです。それが功を奏してインテーク戻しのチューブから排出されたエマルジョンは今回のようにエアフィルタ側に流れ、スロットルボディ側に流れていかない工夫になってます。
もしスロットルボディ側にエマルジョンが流れ込んでたら間違いなく走行不能になってたんだろうし、最悪はシリンダまで流れ込んでエンジンブローになってたのかもしれません。やばかった…。
VirusWinのエアクリーナーの話はこちら↓
ここからいよいよ内圧コントロールバルブのチェック&クリーニングです。
まずは車体から内圧コントロールバルブを取り外して各チューブ口の様子をチェック。
1枚目が排出側。奥のバルブにエマルジョンがたくさん付着してるけど通り道を塞ぐほどではなかった。でもこれ、エアクリーナに流れ出てきた大量のエマルジョンからして、異常発生時はここを塞いでたんじゃないかと思います。
2枚目が追加したDROWSportsヘッドカムカバーのベント口(内径12mm)に繋がるホース。若干のエマルジョン付着は見受けられるけど気にする程ではないです。
3枚目がグロム本来のベント口に繋がるホースジョイント部(内径8mm)。エマルジョンで完全に塞がってます(笑)
グロム本来のベント口へのホースが完全に塞がってるのはいただけませんね。
私のグロムはホース取り回しが上下きっちりストレートになるように配管してます。なので内圧コントロールバルブにオイルが溜まったとしてもベント口までオイルが落下されるように考慮したんですが…。たぶんですが内径8mmって細さが塞がりやすさの原因なんでしょうね。エンジン下してオーバーホールするときにでも大口径化(10mm or 12mm)してあげましょう。
これは推測ですが今回の経験から察するに、オイルパン油温(シリンダ温度じゃないよ)が80℃台で1時間くらいは走り回って高温ブローバイガスを内圧コントロールバルブに流し続けないと一度堆積したエマルジョンは洗い流されないみたいですね。
なので、短距離走、街乗り程度の低回転オンリーな走り、冬場の走行全般はエンジン(熱源)から遠い内圧コントロールバルブ付近にエマルジョンが蓄積されやすいんだと思います。
エマルジョン化はオイルと水が混じるオイル乳化現象ですが液化ブローバイガスとも呼ばれてます。燃焼で発生したブローバイガスはガソリン自体の水成分やエアの水気が含まれてます。これがクランクケース内をわちゃわちゃ踊ってるオイル飛沫と混じ合うことでエマルジョン化が起こっていることは想像できます。が、それと共にエンジンを停止した後のエンジンが冷え込む際にエアクリーナ越しの大気の湿気と混じってオイル混じりのブローバイガスがエマルジョン化してるんだと思います。
ノーマルのグロムは内圧コントロールバルブ(ワンウェイバルブ)を持たずインテーク直結(クランクケースとインテーク間が常に開放状態)です。エアクリーナボックスにエマルジョン混じりの水が蓄積されていくのはそのせいなんでしょうね。<間違ってたらごめんなさい
ちなみにわたしのグロムの場合、冬場(オイルパン油温は街乗りで60℃台)でもオイル交換時に排出したオイルが白っぽく濁ってエマルジョンが発生した痕跡は見かけますが、クランクケースカバーを開けたときにケース側面にエマルジョンが付着してるのを見たことがないです。春から秋まではブローバイガスの温度もそれなりに熱いのでエマルジョン化しても流れやすくてオイルパンまで戻ってきてくれるんでしょうね。
一度エマルジョン化したオイルは元に戻ることはないのでオイル性能を劣化させる厄介者であることは変わりませんが。
話が長くなりましたが、いよいよ内圧コントロールバルブの内部をチェック。
1枚目、バルブ入力側を分割した状態です。
右の黒いパーツがバルブ側(ワンウェイバルブの入力側)。
左の青いパーツがブローバイガスが入力されるバッファ部。
想像を絶するエマルジョンの量。しかも、これって上述したバルブ排出側と同じく、エアクリーナに流れ出てきた大量のエマルジョンからして、異常発生時はここも塞いでたんじゃないかと思います。
T-REVのバルブ構造を知ってる人ならわかると思いますが、リードバルブの辺りのエマルジョンだけ吹き飛んでいった感じで無くなってます。
2枚目、バルブ出力側を分解した様子。
先ほどのノズルから見えなかった部分がぜんぶエマルジョン。つまりは気道から外れた空間のエマルジョンは見事に残ってます。清掃しない限りずっとこのままなんでしょうね。
内圧コントロールバルブを全バラにしたら、あとは歯ブラシを使いながらパーツクリーナで一気に洗浄。あっさりきれいになりました。
バルブ部分は徹底的に掃除。リードバルブ部分をさらに分解して清掃しました。
ネジがサビてたので長期にわたってエマルジョンが蓄積していったのが想像できます。
ホースの中のエマルジョンもパーツクリーナで清掃。詰まっていたエマルジョンが大量に吹き出し、そこら中に飛散して服やら顔にエマルジョンが…。
グロム本来のベント口に繋がるホース側にもエマルジョンがびっしりだったのですが、こっちにパーツクリーナを使うことはできない(クランクケース内にパーツクリーナ液が混入するので)のでブロアーでエマルジョンをクランクケース内に吹き戻した後からエンジンオイルを少量流し込んで洗い流しました。
バラバラにして清掃した内圧コントロールバルブを組み直して車体に組付け、オイル交換を実施。
近所を軽くテストラン。完調したことが確認できました。
また、ハイコンプピストンに換装してからエンジン吹きあがりがフラットピストンに比べてもっさりしてたのですが、ハイコンプピストンの異常な高圧縮が原因かと思ってましたがどうやら今回のエマルジョンが悪さをしてたようです。
ハイコンプピストンでも一気に吹け上がるようになってより快調になりましたとさ。
リヤメンテナンススタンド(わたしはJ-Tripを使用)を使用してオイル交換する際、オイル窓での適正油量レベルの参考にですが、1枚目の写真のように窓の底辺に見えるか見えないか程度で丁度良いレベルです。2枚目の写真がスタンドから車両を下して車体を直立させた状態です。
長文になってしまいすみません。
今回、人生初のエマルジョン(乳化オイル)の洗礼を受けたお話でした。
冬の間に蓄積されたエマルジョンは、この陽気で悪さをし始めます。
みなさんもお気をつけください。それでは良きバイクライフを♪
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