丸木戸さんのツーリング日記 「肘折温泉からの銀山温泉」

銀山温泉は結構有名で、観光客も多い。
確かに大正ロマンの漂ういい感じの所だけど
人が多すぎて俺には辛い。

銀山シチューなるものを食す。
美味いような普通なような、とにかく足りないけど高いように思う。
観光地ってこういうものだと納得はする。

相棒のcb1300乗りが満足出来たならまあ、良しとしよう。
たぶん、今週で疾走り納めのライダーもいるからか、道には
ライダーが沢山いた。

俺はまだまだ疾走るよ。
雪が積もる寸前までな。

時々思う。
「なぜこんなに疾走りたいのだろう?」
「なぜ無茶な速度を出すのだろう?」
多分おれは、生きている事を確認したいんだ。
二輪が刻む路面に、俺は生きていると刻みつけたいんだ。

本当の事を言うと、俺は絶望していた。
家族を失い、愛犬も死んで、世間は俺を必要としないという事実をつきつけられて。
「世の中を変えたい!」なんて気持ちだけでは選挙に勝てない。
バカな奴にもへつらい、おべっかも使って自分を見失って、、、
自分にウソをついて政治家にしがみつこうとした自分が嫌でたまらなかった。

仮面はどんどん分厚く、そして重くなっていった。

全てを失った時、俺は死んだも同然だったけど、それでもバカな俺を見捨てなかった母を守らなければという思いだけで生きていた。
「子供たち?もう大人だから平気さ」
そううそぶいてきりはなした。
そんな俺でも子供たちは俺を慕ってくれている事に感謝。

二輪に跨って疾走ることに意味なんてない。
だって、車の方が快適だし安全だ。
荷物も沢山積める、家族がまとまって乗れる。

二輪は、生きる事を確認したい人の乗り物なんだ。